ご乗車ありがとうございます。
北海道で観光バスの運転手をしているやまやまです。
毎年ゴールデンウィーク近くになると、
冬の間、
通行止めになっていた峠が開通し始めます。
例えば十勝地方の
「然別湖」と「糠平湖」を結ぶ「幌鹿峠」や、
道東の世界自然遺産、
知床半島の付け根にある、
「ウトロ」と「羅臼町」を結ぶ「知床峠」などは、
冬の間は通行止めになるメジャーな峠です。
日本一開通期間の短い国道
また知床峠は日本一開通期間の短い国道として知られています。
毎年10月下旬~4月下旬が
冬季通行止めになるので、
通れる期間がだいたい半年程と、開通期間の短い峠です。
また、開通したての春と、
雪が降り始める秋には、
終日通れるのではなく、
時間規制があるので、
朝夕に通る予定をたてる方は注意が必要です。
この知床峠を通ることが出来ないと、
ぐるっと根北峠を経由して約2時間半、
110キロほど走らなければならないのが、
知床峠が通れると約1時間、
27.3キロで済みます。
知床峠(知床横断道路)は
知床半島の西側にあるウトロと、
東側にある羅臼を結ぶ山岳道路で、
雪が多い為、
毎年工事が出来る期間が半年しかなく、
昭和38年~昭和55年の
17年もかけて作られた道路です。
ウトロから知床峠までの見どころ案内
「ウトロ温泉」から「知床峠」へと登って行くと、
まず、幌別橋を渡ります。
この幌別橋の下を流れる幌別川は、
毎年秋になると、サケやマスが産卵のために帰ってくる川です。
それを狙って河口付近では
釣り人が釣りをしているのですが、
サケやマスを狙っているのは
釣り人だけではなく、
野生の熊も、
この時期になるとサケが登る
川の近くで度々見かけます。
特に幌別橋を渡る時は、
川を上から見下ろす感じで見やすい場所なので、
観光バスも徐行をするのですが、
橋から海側には釣り人、
橋から上流側には熊、
なんて事もあります。
また、
夜に行われる斜里バスが運行するバスツアーで、
夜の大自然号と言う夜行性の
動物を観察するバスツアーでは、
この幌別橋から上流側の電柱に
シマフクロウが停まっていることもあります。
そしてこの幌別橋を渡ると、
そこから世界自然遺産の区域に入ります。
そのまま上り坂の左カーブを過ぎて少し行くと、
プユニ岬を通ります。
このプユニ岬は夕日の絶景ポイントになっていて、
山側には車を停められる場所(旧道)もあるので、
夕方にはカメラに三脚で
夕日を撮っている人をよく見かけますし、
冬には沖に少し離れてしまった
流氷も見やすいポイントです。
「プユニ岬」を過ぎてさらに上り坂を行くと、
「知床五湖」に行く道と
「知床峠」に行く道の分岐点があり、
その分岐点の手前左側には
「知床自然センター」があります。
その「知床自然センター」の脇の道が、
フレペの滝(乙女の涙)への遊歩道になっています。
片道20程でフレペの滝展望台に行けますが、
ここは良く熊が出没するため
遊歩道が通行止めになったりします。
写真は知床自然センターと
プユニ岬の間の道路脇に居たヒグマです。
知床自然センターの交差点を過ぎて直線に入ると、
晴れていて、
山にも雲がかかっていなければ、
知床連山の最高峰、
標高1.661mの羅臼岳が見えてきます。
この羅臼岳は1994年に
皇太子夫妻も登山をされた山で、
そのおかげで、
登山口までの細い砂利道が舗装道路になりました。
余談ですが羅臼岳の登山口には、
その名も「ホテル地の涯」と言うホテルがあり、
電気が通っていないため、自家発電で営業しており、
エレベーターが動くと電気が少し暗くなったりします。
携帯電話も圏外なので、
携帯電話依存症の方には
辛いかもしれませんが、
たまには携帯電話から
開放されるのも良いものですよ。
ホテルまでの道は細く、
対向車が来ると大型バスでは
待避所を探すのが大変で、
特にお盆の時期は登山の方たちが、
狭い道路に路上駐車をしていくので、
バスがホテルまでたどり着けないこともありました。
ちょっと脱線してしまいましたが、
「知床自然センター」を過ぎると
羅臼岳を眺めながら、
坂道を登り続けていくと、
だんだんと羅臼岳が大きく綺麗に見えてきます。
知床自然センターからは15分ほどで
知床峠の頂上に到着になります。
知床峠の頂上
知床峠の頂上には駐車場とトイレしか無く、
知床横断道路自体が観光目的ではなく、
産業道路として作られたので、
お土産屋や店舗などはありません。
昔は焼きイカやじゃがバターを売っている、
移動販売車も居たのですが・・・。
知床峠の頂上からの景色は、
晴れていて見通しが良ければ、
北方領土の国後島がみえます。
そして何より羅臼岳が!
まるで山の斜面を熊が歩いていたら、
見えるのではないかと思うぐらいに綺麗に見えます。
ただ、知床峠の頂上は、
平地に比べてかなり気温が低いので、
夏は涼しくて良いのですが、
春秋は上着は必需品です。
知床峠から羅臼までの見どころ案内
知床峠は毎年
ゴールデンウィーク辺りに開通するのですが、
開通したての頃は道路脇はまだ
雪の壁になっていることが多いです。
特に知床峠の頂上から
羅臼側は急カーブや急な斜面も多く、
毎年ゴールデンウィークに間に合わせる為に、
3月中旬辺りから除雪作業が始まります。
羅臼の地元の漁業関係者の方たちも協力して下さり、
除雪車では除雪出来ない急な斜面に、
ロープ伝いに斜面に積もった雪を切り崩すという
大変な作業のおかげで開通にこぎつけます。
知床峠の頂上から羅臼側へ5分ほど下って行くと、
羅臼湖への散策路の入口があります。
ただ、入口付近には駐車場は無く、
地元の路線バスの羅臼湖入口の停留所が有るだけなので、
この付近はカーブも多く、路上駐車をされると事故の元なので、
路上駐車は止めて頂きたいです。
また、羅臼湖に限らず知床半島は、
世界的に見ても野生の熊の生息密度が濃い場所なので、
もし散策されるのでしたら、
不幸な事故を避ける意味でも
ネイチャーガイドさん同伴での
散策をオススメします。
ちなみにネイチャーガイドさんは、
じゃらんで予約することができます。
羅臼湖入口を過ぎ、
いくつもの急カーブを下って行くと、
不意に右カーブから始まる翔雲橋があります。
この翔雲橋最初の右カーブは緩いように見えて、
下り坂ということもあり意外とキツイうえに、
もし落ちたらひとたまりもありません。
なぜなら翔雲橋は山の斜面や自然を傷つけない為に、
高さが30mもあり、長さは351mで、
この橋を作るだけで
4年と8億2.000万円もかかっている、
開発自慢の橋だそうです。
この翔雲橋の上からの
眺めに圧倒されながら下って行くと、
覆道にさしかかります。
この覆道の近くに、道路からは見えないのですが、
熊越えの滝があります。
熊越えの滝は昔、
子連れの熊がマタギに滝まで追い詰められ、
親熊は子熊をかばうように
子熊を先に滝を渡らせる姿を見たマタギは、
その親熊の行動に心をうたれたマタギは、
親熊を撃つのを止め、見逃してあげたそうです。
それで「熊越えの滝」と名前が付いたそうです。
また、この付近の覆道の中はカーブになっていて、
水が流れている所もあり日陰ということもあって、
春先や秋は凍結している場合もあるので、
通る時には注意して下さい。
覆道を2つほど過ぎると短い直線の途中左側に、
分かりづらいキャンプ場の入口があり、
道路を挟んでその向かえに細い橋がかかっています。
その橋の向こうが天然の露天風呂になっていて熊の湯があります。
この露天風呂は一応仕切りがあって
男女別になっているのですが、
男湯は道路側からの仕切りは無く、
一応バスは案内の都合上、
徐行をしてお客さんに案内をするのですが、
バスの車窓からは丸見えなので、
たまに裸で仁王立ちしている方を見かけることもあります。
またこの熊の湯は、けっこう熱めで、
地元の漁師さん達も入るので、
あまり水を足してぬるくしてしまうと怒られますので、
注意して下さい。
そして熊の湯を過ぎ少し下ると、
左側に羅臼ビジターセンターがあります。
ビジターセンターには羅臼の自然に関する資料や展示があり、
大鷲の実物大のぬいぐるみや、
熊のかぶり物と手袋もあるので、
それを付けて写真を撮るのも記念になりオススメです。
また、ビジターセンターの脇には、
羅臼の間欠泉への入口があり、
徒歩5分程で間欠泉まで行けます。
ただ、自分はタイミングが悪いのか、
2回ほど行ってみたのですが、
まだ1度も吹き出している所を見た事がありません。
また羅臼ビジターセンターを過ぎて下って行くと、
左側に廃業してしまったホテルがあり、
続いて、らうす第一ホテル、ホテル峰の湯とホテルが続きます。
このホテルを過ぎて少し下ると、
もう羅臼の町に到着です。
また、北海道旅行の旅行日程を考えている方は、
で、紹介していますので参考にしてみて下さい。
北海道旅行をレンタカーで行くか、
ツアーバスで行くか迷っている方は、
で、紹介していますので参考にしてみて下さい。
ご乗車ありがとうございました。